熱波師:アウフグースマスターによるタオルで熱波を送る心と技術。その世界大会についても解説。

ちょっとした日常のこと

温泉施設にサウナがある光景は珍しくありませんが、サウナストーンに水やアロマ水をかける光景や、そこで発生した熱をタオルなどを使って扇ぎ、お客さんに届けるサービスがある施設も増えてきています。これらのサービスについてまとめるとともに、その世界大会について解説していきます。

アウフグースとロウリュについて

ロウリュ(löyly)とは

サウナ発祥の地であるフィンランドにおけるサウナ入浴方法で、サウナストーンに水やアロマ水をかけて蒸気を発生させることを指します。

ロウリュの目的と効果は

サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることにより、サウナ内の湿度や体感温度が上がります。
それにより発汗が促され、身体の新陳代謝の向上と細胞の活性化が促されます。
また、ストレスの緩和や美容への効果も期待されます。

アウフグース(Aufguss)とは

ドイツ発祥の入浴法で、ロウリュで発生した蒸気は上方にたまってしまうため、タオルなどを用いて循環させ、熱い風をお客さんに向けて送り届けることを指します。
ちなみに、熱風を送るサービスを行う方を「熱波師」「アウフギースマスター」「アウフギーサー」と呼び、ただ熱を送り届けるだけなく、安全管理も行う必要があります。
ちなみに、検定や世界大会も開催されています。

アウフグースの目的と効果は

通常以上に熱い水蒸気をタオルで攪拌し、入浴者に向けて扇ぐことで体感温度の上昇と更なる発汗が促されます。
それにより老廃物の排出(デトックス効果)や新陳代謝の促進、ストレスの緩和、アロマオイルを使ったロウリュによるリラックス効果が期待されます。
また、熱波師によるパフォーマンスによる楽しみを味わうこともできます。

アウフグースの注意点

通常のサウナ以上のデトックス効果などが期待されるアウフグースですが、通常のサウナ以上の湿度と体幹温度の上昇による発汗があるため、いくつか注意点がありますので、以下にまとめます。

●多量の発汗を伴うため、前後で水分補給をしましょう
●開催時間が決まっていますので、時間厳守で開始5分前には準備をしておきましょう。
●かなりの高温になりますので、体調不良時などは無理をせずに途中でも退出をしましょう。
●アウフグースではかなりの発汗により体力を消耗しますので、実施後はゆっくり休みましょう。
●熱波師の方の指示に従い、安全に楽しみましょう。

アウフグースマスターとは

前述のように、アウフグースはロウリュで湿度を上げ、タオルを使って攪拌することと書きましたが、ただ攪拌するだけなら扇風機のようなもので十分事足りるわけです。
しかし、ここで熱波師の方が活躍されるのには意味があります。
それは、サウナ室内の安全管理ができること。特定の技法や湿度・温度の調整技術、アロマに精通しているばかりか、立ち居振る舞いなどにも精通しており、サウナ室内を最高の空間に演出してくれます。
さらには、タオルを使った特別な技法を用いて、サウナ室内の熱を均一にすることで、最高のサービスを提供してくれます。

熱波師の検定や世界大会とは??

サウナ室内を安全にかつ最適な空間にするには、ただタオルを振れば良いわけではありません。サウナについて学び、技術だけではなく、温度調整や湿度調整、さらにはアロマについても学び、衛生管理や立ち居振る舞いなどについても学ぶことで、より良いサービスが提供できるのです。

熱波師検定とは??

JSNA 日本サウナ熱波アウフグース協会が主催する検定で、一部施設では優遇もあります。
検定では以下の内容を学んでいきます。

熱波師検定B(店舗orリモート受講) 約2時間半~3時間

座学)サウナの基本知識、ロウリュとは?
実技)縦あおぎ 目標に風は行きますか?

熱波師検定SUS(ステップアップセミナー)(店舗受講) 約2時間半~3時間

座学)熱波師としてのサウナ
実技)横あおぎ

熱波師検定A(店舗受講) 約6時間

実際のサウナで熱波師として最低限必要なこと。できなきゃならないことを一人でできるようにします。(温浴施設熱波師見習いレベル)

熱波師検定S

準備中(令和6年10月30日現在)

世界大会とは?

各国トップクラスの熱波師が世界中から集まり、世界チャンピオンを決める大会です。
内容としては、通常のアウフグースに加えて、照明や音楽などを用いてサウナ室内で行われるエンタテインメントショー(ショーアウフグース)を行い、採点基準に則り審査をします。
2023年度は日本人ペアが優勝されています。

世界大会に出るためには

動画 エントリー → 動画審査 結果発表 → 地方予選 

→ 日本選手権 予選 → 決勝 → 世界大会

上記のように、まずは地方を制し、日本選手権を制して世界大会への出場資格が得られるため、いくつもの難関をクリアする必要があります。

どういう内容で採点されるの??

熱風の送り方などの技術面だけでなく、備品の整頓や衛生面、ショーの構成やストーリー展開、照明や音楽の使い方など、トータルとして評価をされています。

サウナ室でサウナストーンに水をかけ、タオルで扇いで熱を循環させる。
文字で書くとこれだけのことですが、熱波師の皆さんは熱い中でかなりの体力を要するばかりか、衛生面やお客さんの安全面にも気を使い、その上でお客さんに楽しんでもらえるような雰囲気も作っていることが分かりますね。

詳細はアウフグーフチャンピオンシップ2024の大会概要のページをご覧ください。

まとめ

サウナ室内で行われるアウフギース。私も何度も体験したことがありますが、とても楽しく気持ちの良い空間でした。こうして調べてみることで、あの体験ができた背景には熱波師の方の素晴らしい知識と経験があったのだと感じました。
アウフギースを体験されるときには熱波師の方に対するリスペクトを持って臨むことで、より深いリラクセーションなどの効果が得られるのではないでしょうか。

参考・引用

日本サウナ熱波アウフグース協会ホームページ

フィンランドサウナジャパン株式会社ホームページ ロウリュ(löyly)とは?

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