理想の眠り方とは?覚醒依存によるリスクと睡眠の重要性・仕事への影響についてまとめ

お金と仕事

もともと睡眠負債について知っていながらも、睡眠時間を削って日々の目標達成を繰り返している中で、NHKアカデミアで睡眠学者の柳沢正史先生による睡眠に対する内容を見る機会があり、睡眠に対する考え方を変える必要を強く感じたため、以下に考察を交えながらまとめます。

覚醒依存とは何か?

睡眠学者の柳沢正史先生によると、

睡眠不足というのは、言ってみれば“覚醒に対する依存症”です。依存症というのは、それを続けているとよくないと分かっていても、やめられないというのが依存症なんですけれど、覚醒に対する依存だと思ってください。

NHKアカデミア 第17回<睡眠学者 柳沢正史>より引用

このことから、我々日本人は睡眠を削って仕事をすることに対してそれほど否定的でない方が多いと思うのですが、実際にはその考え方自体が覚醒依存なのでしょう。
睡眠を削ってでも何かをやりぬくということは果たして正しいのでしょうか?
海外と比べて睡眠時間の短い日本ですが、睡眠時間と生産性の間には相関があり、睡眠時間を削ることによるメリットはあまりないようなデータがいくつも見られています。
覚醒依存の状態にあること自体が様々なマイナス要素を含んでいると言えますね。

睡眠負債について

睡眠負債とは、慢性的に睡眠不足が続いている状態で、その負債が蓄積することで、心も体も不調を訴えている状態です。

実際には睡眠不足が続いていて、睡眠負債の状態であっても、この不調について気づいていない方も多いのではないでしょうか?
私自身もそれほど睡眠不足を感じていませんでしたが、たっぷり寝た翌日には、昨日までできなかったトレーニングが簡単にできたり、パフォーマンスが向上した経験があります。これは、言い換えれば、昨日までの私がパフォーマンスが低下していたと考えられます。
つまり、気が付かないうちに睡眠の負債を抱え、気が付かないうちに本来の力が発揮できなくなっていたということです。

睡眠が足りないことで何が起こるのか?

睡眠が足りていないと、肉体的な疲労感や倦怠感が強くなるばかりか、思考やパフォーマンスの低下が引き起こされます。
さらには、免疫力の低下、肥満、糖尿病や脳卒中などの生活習慣病になる可能性が増え、精神的にも不安定になり、記憶力や認知機能の低下まで引き起こされます。

これらのことからも睡眠不足によるデメリットがかなり大きいことが分かりますね。
睡眠を削ることで時間が確保できた気になりますが、その時間で多くのことを失っていたり、気づかないうちに仕事などにおける生産性も下がっているという事実に目を向けなくてはなりませんね。

睡眠とは?

私が学生時代に習った時点では、睡眠とは身体や脳を休める時間であり、浅い睡眠のレム睡眠から深い睡眠のノンレム睡眠を迎え、レム睡眠に戻るというサイクルを90分で繰り返しており、その後もそれを繰り返していきますが、深い睡眠は徐々に浅くなっていくため、最初の90分が最も大切と言われていました。また、90分サイクルで浅い睡眠が訪れるため、90分の倍数で起きると寝起きが良いともいわれていました。

しかし、最近の研究では、90分のサイクルというのは平均値であり、人によってサイクルが異なるということや、浅い睡眠と言われていたレム睡眠でもちょっとの刺激では起きないくらい深い睡眠であり、脳が休んでいると言われてたノンレム睡眠中も脳は覚醒時と変わらないくらい働いているということが分かっています。
では、脳は休まずに何をしているのかというと、記憶の整理をしています。そのため、起きている時間に学んだことや練習したことが、眠った後にはより高いレベルで記憶として定着していたり、パフォーマンスが向上していたりします。

実際に私もよくあるのですが、日中に新しいことをやってみて、何度練習してもうまくいかないものが、一晩休んで翌日再チャレンジするとうまくできるようになっているということを何度も経験しています。
そうなると、睡眠を削って練習や勉強をするということはかえって非合理的な選択と言えますね。

睡眠とは、身体を休ませる時間でもあり、脳が情報を整理する時間と言えますので、仕事や作業よりも優先して睡眠を確保することに大きな価値があると考えられます。

どれくらい眠れば良いのか?

一般的には6時間から8時間と言われることがおおいですが、どうやら必要な睡眠時間は個人個人によって異なり、それは遺伝子レベルで決まっている物なので、訓練や慣れによって睡眠時間を削れるようになったとしても、実際には必要な睡眠時間が足りていないので、身体には大きな負担がかかっている状態になっているそうなんです。
つまり、慣れで短い睡眠を繰り返していると、気づかないうちに足りない睡眠が蓄積して、睡眠の負債を重ねている睡眠負債という状態に陥ってしまいます。

では、どれくらい眠れば良いのでしょうか?
まず、日中に眠くなることがあったり、夜間に1分以内に眠れるような感じであれば、その時点で睡眠が足りていないと言えます。

解決策としては、仕事などによる時間の制約がないのであれば、夜になったら、早めの時間に真っ暗な部屋で寝たいだけ寝ます。おそらく最初のうちはかなりの時間寝てしまうと思います。それは負債を返済するために余剰の睡眠をとるからです。
それを繰り返していくうちに、徐々に睡眠時間が一定になってきますので、それが自分にとって必要な睡眠となります。

また、仕事などで起床時間に制約がある場合には、いつもより30分早く寝てみて、翌日の日中の眠気や自身のパフォーマンスを確認します。それを1週間繰り返して、良い方向に向かっていれば、さらに30分早めて1週間行います。
そしてすっきりと起きられてパフォーマンスが固定されてきたら、そこが自分に必要な睡眠時間となります。

ちなみにですが、どうしても睡眠時間が確保できない方は、高い質の睡眠をとることで補えるのではないかと思われると思っていたのですが、これはNGだそうです。
質も大切ですが、まずは時間が大切なため、質を高められる環境で、しっかりと睡眠時間を確保することが必要です。

つまり、睡眠不足があると自分本来の能力を引き出せないばかりか病気になるリスクが高くなるなど、マイナスの要素が多いので、やることが終わったから寝る。というような形ではなく、睡眠時間をまず確保した上で、残った時間でスケジュールを組んで活動することが必要と言えますね。

しっかりと質の良い睡眠をとるためには

寝る前の時点で明るすぎる部屋にいると、神経が高ぶってしまい、良い睡眠に入れませんので、寝る数時間前から部屋の照明を少し落として、睡眠に備えましょう。
また、同様の理由で寝る前のスマホの利用は控えましょう。
それから、部屋の温度や湿度についても大切で、寒くて眠れない。暑くて眠れないという環境では睡眠の質が落ちてしまいます。
そのため、部屋の温度や湿度についても快適と思える環境にしましょう。

まとめ

以上、理想の眠り方とは?覚醒依存によるリスクと睡眠の重要性・仕事への影響についてまとめをお届けしました。
このように睡眠が不足している状態であると、心も体も消耗し、生活レベルや自分の能力も低下していきます。結果として仕事においても悪い影響が出てきてしまいます。どうしてもやりたいことや急ぎの仕事があるときには睡眠を後回しにしがちですが、睡眠が果たす役割は大きく、睡眠を削ることによるデメリットが多く存在することが分かりました。
覚醒依存の状態になって、自分自身や生活の質が低下することを避けるためにも、まずは睡眠を優先して確保するとともに、質の良い睡眠をとれる環境を用意して、より良い睡眠の上で日々の仕事や生活をより良い状態で行えることが人生の質を高めていくのではないでしょうか。

参考 引用

NHKアカデミア 第17回<睡眠学者 柳沢正史>

放っておくと怖い「睡眠負債」。寝不足がもたらす心身への影響と対処法を大学教授に聞いた

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