理学療法士の年収は?今の給料は妥当なの?給料を上げるための転職について考える。

理学療法士として働く中で、給料に対する不満や今後に対する不安を耳にすることが多くあります。しかし、いただいている給料は本当に安いのでしょうか?まずはこの点について考えてみましょう。また、どうしたら給料が上がるのか。転職をするにあたってどの程度の給料を目指すのが妥当なのか。ということについてまとめてみました。

理学療法士の平均年収は?

厚生労働省令和5年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は432万5千円。
月収30万円、賞与71万4千円という内訳になっています。

ちなみに、平均年収を12か月で割ると36万416円となります。

この金額が高いかどうかは一旦置いておきましょう。
また、ご自身の給与と比べて高いかどうかを考える前に、ご自身の給与が本当に安いのかどうかを考えてみましょう。

今の給料は本当に安いのかを考えましょう

理学療法士の働き方として病院やクリニック、施設、訪問看護ステーションなど様々な働き方がありますので、今回は訪問看護ステーションを例に考えてみます。

自分がいくら売り上げているのかを知りましょう。

給料の妥当性を考えるうえで、最初に考える必要があるのは、「自分がいくら売り上げているか。」という点です。なぜなら病院や会社の売り上げから給料が出るので、自分がいくら売り上げているかを知ることは重要です。

そこで今回は、訪問看護ステーションを例に、自分が行った治療に対する診療報酬をそのまま売り上げとして考えてみます。
ただし、管理職の方などは治療による点数ではなく、人員の管理などが仕事であるため当てはめることは難しいことを断っておきます。

訪問看護ステーションでは介護と予防介護、医療とで点数が異なりますが、今回は考え方をまとめていきたいので、介護保険のみとし、加算や地域区分についても省きます。

介護保険
40分5,880円
60分7,950円

仮に、週5日出勤で、毎日6件訪問しているとします。
内訳は60分4件、40分2件とします。
1日当たり4万3,560円売り上げています。
1週間5日で、21万7,800円
4週間で87万1,200円の売り上げとなります。

87万という結構な額の売り上げとなりましたが、果たしてこの売り上げは自分一人で稼いだものでしょうか??
この点についても考えてみましょう。

会社が支払っているお金は?

自分が所属している病院や会社は固定費として、建物や車などのお金を払っています。
理学療法士は直接治療して、お金を稼いできますが、事務の方や清掃の方など、直接お金を生み出すことはありませんが、縁の下の力持ち的な存在として、病院や会社のために重要な仕事をされている方がいらっしゃいますので、その方々のお給料も支払っています。

訪問看護ステーションで考えると、
事務所の家賃や光熱費、移動の際の自転車や車の費用(ガソリン・車検・保険など)
文房具代やPCやソフトなどの費用がかかっています。
また、事務の方がいればその方の給料も必要となります。

働くことで直接お金が動く職種と、働くことで直接お金は動かないけど大切な職種がありますので、皆で働いて病院や会社に売り上げを計上して、そこからみんなに分配していく形になっているので、自分の売り上げが自分だけに返ってくるわけではないということです。

次に会社が自分のために負担しているお金についても考えてみましょう。
お給料をいただく際には、社会保険料の一部は会社が負担しています。
健康保険料と厚生年金保険料、介護保険料はご自身と会社とで50%ずつ。
雇用保険は業種によって異なります。
労災保険は全額会社負担となっています。

我々働いている理学療法士一人一人に対して、
給与明細に書かれている金額だけではなくて、社会保険料の一部も会社が支払っているということを忘れてはいけませんね。

売り上げとお給料のバランスはどうでしょうか??

このように自分の給料について考えるときに、まずは自分がいくら売り上げているのかを最低限確認してみましょう。
一般的に人件費の割合の目安は、売上総利益の50%以下が適正とされていますので、仮に直接お金につながらないスタッフがいなかったとして、自分の売り上げの50%が上限として考えられます。
今の給料は果たして安いでしょうか?妥当でしょうか?

転職を考えるときに大切と思うこと

売り上げと給料とを天秤にかけてみて、明らかに低い場合には転職を考えるのも一つの手です。そのような方がいらっしゃったら、以下のことを意識してみてください。

マイナスの気持ちでの転職はNG あくまでもステップアップです。

「今の職場の給料が安いから辞める」とか、「この職場の〇〇が嫌だから辞める」などの気持ちで辞めたり、転職活動を始めると、新しい職場に行っても、嫌なことがあると辞めたくなります。

また、面接でも今の職場に対する愚痴などを言ってしまうことにつながります。
自分の職場の悪口を言うスタッフと一緒に働きたいでしょうか?

もし、嫌な面があって辞める方は、新しい職場に行くことで何を得られるのか。何を得たいのかを考えてください。
今の職場に不満があっても、転職するときには自分のステップアップと考えてみてください。
そうすると面接でも前向きな発言ができると思います。

また、可能であるならば、今の職場に不満がある方、不満な点について上司に伝えることができたのかを考えてみてください。
「どうせ聞いてもらえない」「どうせ変わらない」と思い込んで一人で抱えていませんでしたか?
そういう方は、しっかりと話せなかったことを反省点として、次に進んでみてください。

私自身も何度か職場を変わっていますが、仕事を辞めるときの反省点として、上司とコミュニケーションがしっかりと取れなかったことが挙げられます。
そして、コミュニケーションを取らなかった原因の多くは、自分自身が避けてしまったりして、コミュニケーションを取らない選択をしたことでした。
不満があれば、それを伝えることが必要です。
といっても、クレームをつけるような形ではなく、意見として伝えることが必要です。
経営者は、こちらが不満に思っていることに気づいていなかったり、こちらが価値と思っていることと違う点に価値を見出していたり、大体の場合はお互いの気持ちがすれ違って、「勘違い」状態になっていることが多いです。
まずは、話してみて、それでもだめであれば、自分のステップアップのために一歩を踏み出しましょう。

自分の価値を伝えられるようにしましょう

最近は面接の際に、「いくら欲しい?」と聞かれることが増えたように感じます。
その際に、あいまいな返事や「お任せします」というのはNGです。
自分がいくら売り上げられるのかを伝えたうえで、どれくらい欲しいのかを伝えられるようにしましょう。
また、売り上げだけが価値ではありません。
臨床で一人も治療していないのに、たくさんのお給料をもらっている上司に心当たりはありませんか?
それは、売り上げ以上の価値を持っているからです。
そこについてアピールできれば、それもポイントになると思います。

転職について私の失敗談からの学びを参考にしてみてください

こちらの記事にまとめていますので、良かったらご一読ください。
理学療法士の年収(給料)、やりがいを高めるための転職を実現するには?失敗から考察。

給料を上げるための点数以上の価値とは

現場で働くとき、理学療法士の働き方は、治療数×単価となっており、基本的には治療数を重ねていく足し算です。これでは上限はすぐやってきます。

より稼ぐためには、それ以上の価値を病院や会社に提供する必要があります。

人の管理ができる

教育や管理ができれば、自分が直接現場で治療をしなくても、自分が管理している人が働いて売り上げを出せば、それを自分たちの売り上げとしてそこからお給料をいただくことができるため、自分自身が管理できる人が増えれば増えるほど価値が高まっていきます。

企画立案や集客ができる

少ない労力で売り上げを出せるようなシステム作りやその提案ができたり、高い技術力や講演などの発信力で、患者さんを集められるような集客力があることでも自身の価値ということができます。

他にも価値となるものは多々あると思いますが、保険点数で売り上げが決まるため、ただ努力をすれば売り上げが上がるわけではありません。
自分自身が治療をしていくら売り上げられるのかを意識して、それ以上にどうしたら売り上げを上げることができるのかを考えて行動することが組織にとっての価値になるのではないでしょうか。

まとめ

平均年収の部分から始まり、自分の給料の考え方について書いてみました。
理学療法士として働く中で、どうしても売り上げなどの経済観念が薄いスタッフが多い印象があったので、まずは自分の売り上げを確認すること。その上で会社が自分に負担しているお金を知ることを中心に書いてみました。
加えて、転職する際の心構えについても簡単ではありますが記載してみましたので、参考になれば幸いです。

それと、個人的にはお金のために働くよりも、自分が価値を提供して、その結果としてお金が入るという方が良いと考えています。
そこについては、こちらをご参照ください。

お金に関するストレス解消法。仕事とやりがいはどちらを目的にするのが良いか。

参考・引用

令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)




ABOUTこの記事をかいた人

埼玉育ちの理学療法士です。 身体へのアプローチだけではなく、考え方を変えることで体も心も楽になり、生活そのものが変わるということを学びました。 このことを多くの方に知っていただき、一人でも多くの方が日々の生活を楽しく送っていただくことを目指しています。 その他、日々の生活の中での様々な発見やお得な情報、趣味のアーチェリーのことや車のこと、旅行先のオススメ情報などを書いていきます。 <趣味> アーチェリー、車、富士登山、国内旅行、スキューバダイビング、ディズニー