織田信長が異国からの贈り物として受け取り、感銘を受けたとされる「有平糖(あるへいとう)」は、華やかで甘く、美しく細工された飴で、当時の日本人にとって未知の味と形でした。この記事では、有平糖が日本にもたらされた歴史背景や信長と宣教師フロイスとの交流、そして現代に受け継がれる技術や楽しみ方までを解説します。
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信長とフロイス──南蛮菓子との運命的な出会い
信長がフロイスに投げかけた“世界への問い”
永禄12年(1569年)、織田信長は宣教師ルイス・フロイスを初めて引見しました。「年齢は? どの国から来た? 家族は? どれだけの道のりかかったか?」など、信長の質問には、当時の日本では珍しい“世界への視野”と“旺盛な好奇心”が表れています。
フロイスの京都追放からの劇的な対面
京都から追放されて困っていたフロイスを信長が保護したことをきっかけに、信長と宣教師たちはその後、少なくとも31回の会見を行ったされています。
その中で、信長に深い印象を与えたのが「金平糖」と「有平糖」だったようです。
有平糖──ポルトガルから届いた“甘い芸術品”
献上品としてのインパクト
透明な瓶に入った色とりどりの金平糖。そして、棒状で筋模様の入った美しい有平糖。
どちらも、それまでの日本では見たことのない造形と強烈な甘さだったため、信長だけでなく、周囲の武士たちまで魅了したと言われています。
有平糖とは?──名前の由来と一般的な飴との製法の違い
- 語源:ポルトガル語「alfeloa(アルフェロア)」=砂糖菓子の意味から名付けられました。
- 材料:砂糖+ごく少量の水飴(湿気・熱に強く、パリパリとした食感が特徴)
- 製法:高温で煮詰め、空気を含ませて練りながら整形します。花や動物、巻物など多彩な形にすることもできます。
- 一般的な飴との違い:水飴主体ではなく、砂糖が主原料のため結晶が美しく軽い食感となっています。
有平糖と金平糖との違いは?
二つの違いを以下の表にまとめます。
項目 | 有平糖 | 金平糖 |
---|---|---|
語源 | alfeloa(アルフェロア) | confeitos(コンフェイトス) |
主原料 | 砂糖主体+水飴少量 | 砂糖(ケシの実などを核に) |
食感 | サクッ・パリッ | カリカリ・ザラザラ |
成形方法 | 手練り・引き伸ばし・型取り | 回転釜でコロコロと結晶化させる |
見た目 | 棒状・花形・果物・動物など | 粒状で角がある球体 |
こうしてみると、結構違いますね。
身近にある金平糖はイメージできますが、有平糖は新鮮な感じがしますね。s
明治以降、有平糖は文化へと昇華
- 赤・白・青の“理髪店のサインポール”は「有平糖棒」から名付けられたという説もありますが、定かではありません。
- 和菓子の一つとして、茶道・婚礼・祝い事に用いられるようになりました。
- 現在では京都や北海道、長崎などの老舗和菓子店で入手可能です。

現代の有平糖──見て楽しい、食べておいしい
● 視覚と味覚を同時に楽しむ飴菓子
- 色鮮やかで透明感のある造形は目を楽しませてくれますね。
- 抹茶、マンゴー、ヨーグルトなどフレーバー展開も豊富です。
- 高温・湿気にも強く、ギフトや祝い菓子に最適です。
有平糖が語る“日本と世界”の架け橋
有平糖は、ただの飴ではなく、異国との出会いを甘さと美しさに込めて表現した「外交の道具」でもありました。
そして、信長のような革新を求める者たちにとっては、世界への窓そのものでもあったようです。その味わいは、今もなお、歴史とロマンを私たちに語りかけてくれます。
まとめ
織田信長を魅了した南蛮菓子の有平糖は、砂糖の価値や文化の出会い、美意識の結晶でした。
現代に受け継がれるこの飴を、あなたも味わってみてはいかがでしょうか?
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