通常のアーチェリーでは的と射つ位置とで高低差がないため、的までの距離にサイトを設定して射てば良いですが、フィールドアーチェリーでは自分よりも高い位置の的を射つ「射ち上げ」と自分よりも低い位置の的を射つ「射ちおろし」があります。このような「射ち上げ」や「射ちおろし」の時には、表示されている的までの距離にサイトを調整したのではうまくいきません。それは自分と的までの距離と、実際に矢が移動する距離とが異なっているからです。そこで今回は「射ちあげ」と「射ちおろし」の際に、サイトをどのように調整したら良いかご紹介します。
「射ち上げ」と「射ちおろし」とは
フィールドアーチェリーでは、自分が立っているところより高い位置や低い位置に的が設置されていることがほとんどになります。その際に、自分よりも高い位置に的があるものを「射ち上げ」といい、自分よりも低い位置に的があるものを「射ちおろし」といいます。どちらの場合にも的までの距離そのままでサイトを調整して射ってしまうと、上に外れてしまいます。それは、的までの距離と実際に矢が移動する距離とに誤差があるからです。
図の「表示距離」が的までの距離となりますが、実際に矢が移動する距離は「実際の距離」となるのが原因です。
では、「射ち上げ」や「射ちおろし」の際にどうやってサイトを調整したらよいのでしょうか?それは的までのおよその角度が分かれば、三平方の定理で導き出せます。
三平方の定理とは?
直角三角形の斜辺をC、その他の2辺をA、Bとしたとき、
C²=A²+B²
となります。ここから各辺の比率を出していきますが、詳細は割愛して、覚えるべき三角形は以下の3つです。
これらの三角形の斜辺Cから底辺Aを求めていきます。
<30°の場合>
2:√3=C:A
2A=√3C
A≒0.865C よって斜辺に0.865をかければ底辺が導き出されます。
<45°の場合>
√2:1=C:A
√2A=C
A≒0.707C よって斜辺に0.707をかければ底辺が導き出されます。
<60°の場合>
2:1=C:A
A=0.5C よって斜辺に0.5をかければ底辺が導き出されます。
サイトはどう調整したらよいか
表示30mを例にしてみます。
30°の射ち上げ(おろし)の場合、30m×0.865=25.95m(約26m)
45°の射ち上げ(おろし)の場合、30m×0.707=21.21m(約21m)
60°の射ち上げ(おろし)の場合、30m×0.5=15m
角度 | かける数 | 30mの場合のサイト |
30° | 0.8625(9割弱) | 約26m |
45° | 0.707(7割) | 約21m |
60° | 0.5(5割) | 15m |
まとめ
射ち上げ、射ちおろしともに的までの直線距離よりも短い距離でサイトを設定する必要がありますが、サイトを設定する際には、30°で9割弱、45°で7割、60°で5割となります。このことが頭に入っていれば、30°以下の角度の時には9割より長い距離で。30°~45°の角度の時には7割~9割の間の距離で。60°以上の時には5割より短い距離でサイトを設定すればよいということにります。あとは1射目を丁寧に自信を持って射てれば、的中からサイトを調整すれば良いということになります。
おまけ
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