日本各地にあり、タケノコや日用品の材料として有用な「竹」ですが、最近では放置された竹林により土砂災害が引き起こされる危険性があるため「竹害」とまで言われています。解決策の一つとして、竹の利用があり、その一つである竹筋コンクリートについてまとめました。
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竹害とは何か?
土砂災害を引き起こす可能性と雑木林への侵食
あれ?
植物が根っこを張ることで土砂災害の予防になるんじゃないの??
僕もそう思っていたんだけど、森林は根っこを深く張るのに対して、竹林は30㎝から50㎝程度の深さで横に広がるから、雨が降ると竹林ごと滑り落ちていく危険性があるんだよ。
しかも横に広がるのも早いから、広い範囲で土砂災害を起こす危険性があるんだよ。
それと、竹がどんどん成長することで、周りの木に太陽の光が届かないことで、周りの木を枯らしてしまって、雑木林が竹藪に変わってしまうから、ますます土砂災害のリスクが上がってしまうそうだよ。
野生動物の住処になることで近隣の畑に被害が出ることも
動物さんたちが安心して住めるなら良いんじゃないの??
竹藪は民家の近くにあることが多いから、竹藪に動物が住むことで近くの畑とかが荒らされてしまう被害が出ているんだよ。
農林水産省が都道府県からの報告を基にして、全国の野生鳥獣による農作物被害について算出した金額が約156億円(令和4年度)とかなりの額に上っているよ。
そんなに!!?
一生懸命作った作物が荒らされてしまったら農家の方も困るし、私たちも食べるものが無くなっちゃうね。
そうならないように竹をどんどん切ってしまえば良いんじゃないの??
それがそんなに簡単ではないみたいなんだ。
竹を枯らすために、毎年全部の竹を伐採しているところももありみたいなんだけど、枯れるまでに早くて数年がかかるのと、すべてを枯らせる前に中断すると元の竹林に戻ってしまうから、相当根気のいる重労働なんだよ。
そこで、改めて竹を生活の中に活用する動きが活発になっているんだよ。
竹害の原因は??
竹は日本各地に広く分布しており、古来より様々なものに利用されてきました。
軽くて加工がしやすいため、カゴやザルなどの日用品だけでなく、竹とんぼなどの玩具、茶道や華道の道具、笛や尺八といった楽器、竹刀や弓といった武道具、作物の収穫に用いる背負いかごなど、様々な場面で活用されてきました。
しかし、現代では安価な輸入タケノコが手に入りやすいばかりか、プラスチックなどの代替製品が容易に手に入るため、竹を使用した製品自体が減少してきています。
加えて、竹林を管理することは大変な労働であるため、竹の生産者の高齢化などにより、竹林が手入れされていないことで様々な問題(竹害)へとつながっている現状があります。
竹害の原因をまとめると
1,安価な輸入タケノコが手に入りやすくなったため。
2,プラスチックなどの代替品が容易に手に入るため。
3,竹林の生産者が高齢化し、重労働な竹林の管理ができなくなってきたため。
こういった理由から、竹林が伸びたい放題になってしまって、竹害問題が引き起こされています。
竹筋コンクリートによる竹の活用
放置された竹林が竹害の原因となるため、竹を活用することで放置された竹林を減らしていくための活用先として、竹筋コンクリートが挙げられています。c
驚いたことに、この聞きなれない竹筋コンクリート、実はかなり以前から実用化されており、すでに建築物として何十年も存在しているものもあるんです。
竹筋コンクリートとは
私たちが良く耳にする鉄を支柱にした鉄筋コンクリートに対して、鉄の代わりに竹を支柱として入れているものが竹筋コンクリートです。
この技術は資材不足がきっかけとなり、明治時代の戦時中には考案され、昭和初期までは活用されていたそうですが、終戦で鉄の利用が可能となったことから衰退していった技術です。
強度は?
鉄筋コンクリートと比べて60%~70%の強度があるため、鉄筋コンクリートほどの大きな建造物ではなく、小さな建造物に使うことが有効とされています。
寿命は?
鉄筋コンクリートの法定耐用年数は47年と決められていますが、1942年に建設された福井川橋梁は竹筋コンクリートの造りですが80年を超えた今もなお現役であり、2年に1度目視による検査が行われていますが、問題なく使用されています。
メリットは?
〇竹害の原因となっている放置された竹林の竹を使用することで、竹害を減らすことができます。
〇竹は1~2年で成長するため、資材の入手が容易です。
〇鉄筋コンクリートで問題となる、鉄が錆びるという現象が竹では起こらないため、鉄筋コンクリートで問題視されている中性化や塩害対策などへの負担が軽減されます。
〇鉄筋に比べてCO2排出量が少なく、環境にも優しいです。
デメリットは?
〇鉄筋コンクリートに対して強度が60~70%と低く、大きな建造物には不向き。
竹害とまで言われてしまっている竹を活用することで、竹害を防止できるばかりか、鉄筋よりも少ないCO2排出量で鉄筋に変わる建造物を作ることができるのは素晴らしいですね。
竹筋コンクリートによる建造物
厳美渓長者滝橋
年代:1939年
所在地:岩手県一関市厳美町字南滝の上
登録有形文化財に登録されています。
解説文:磐井川に架設された竹筋入りコンクリート橋。径間18mの中央2連アーチ部と左右各2側径間部からなる。充腹アーチの重厚な趣に加えて,橋台・橋脚が岩盤に定着されることで,名勝天然記念物に指定された厳美渓に溶け込んだ景観を創り出している。国指定文化財等データベース(長者滝橋)より引用・改編
岩国徴古館
年代:1945年
所在地:山口県岩国市横山2-7-19
登録有形文化財に登録されています。
解説:昭和15年に財団が設立を議決,20年3月に竣工し,25年以降博物館となった。ドイツ古典主義の影響がみられる意匠は,低く押さえた外観,正面の角柱の列柱,内部のすそ広がりの柱等が特徴である。設計は,早稲田大学教授で岩国中学出身の佐藤武夫。国指定文化財等データベース(岩国徴古館)より引用・改編
福井川橋梁
年代:1942年
所在地:長崎県佐世保市吉井町直谷
登録有形文化財に登録されています。
解説文:吉田橋梁の約500m北方に位置する旧伊佐線関連施設。スパン20mのコンクリート造3連アーチの西側に鉄筋コンクリート造の単桁を架けた橋長68mの橋梁。スパンドレルに連続アーチを穿ち,躯体軽量化と資材減量化を図る。官設鉄道時代の貴重な遺構。国指定文化財等データベース(福井川橋梁)より引用・改編
竹害に対する活動や商品
竹繊維を使ったタオル(PR)
渚コーポレーションでは竹繊維を使ったタオルを販売しています。
竹繊維の特徴として、抗菌作用があるため、外出中のハンドタオルなどが一日中清潔に使用することができます。他にもとても柔らかく、吸水性と速乾性を兼ね備えているので使用感もとても良いです。
また、抗アレルギー作用があるため、アトピーの方でも安心して使えるなど、ハイグレードでありながらやさしいタオルです。
バスタオルやフェイスタオルなどなど販売しています。とても素晴らしい商品が多いので、以下のリンクから是非見てみてください♪
他の記事でも紹介していますので、こちらもご参照ください。
竹害の対策にもなる商品であり、竹を使った多機能なタオルの紹介
竹を使用した紙
中越パルプ工業株式会社では、年間2万トンを超える竹を集荷し、2009年には国産の竹を100%使用した竹紙を製造販売されています。
竹紙の特徴としては、一般的な印刷用紙は表面が平らでくっきりと印刷できるのに対し、竹紙は表面に凹凸があり、優しい印象の印刷になるそうです。
純国産メンマプロジェクトによる活動
”純国産メンマプロジェクトは、純国産メンマなどへの利活用によって増加する放置竹林の資源化を図ることで、竹林整備及び森林の公益的機能の発揮に寄与することを目的とする国内唯一の全国組織です。「美味しく食べて竹林整備」を合言葉に活動する取り組みは、環境保全、食の安全安心、経済性、持続可能性など様々な観点から注目を集め、今や35都府県に広がっています。”
まとめ
竹を使用する頻度が減ってきたことで竹害というものが発生している現状があります。
しかし、竹自体には抗菌作用や強度など素晴らしい性質があり、それを活用した商品がどんどん出てくることで竹害が減少するばかりでなく、私たちの生活にもとてもプラスになることが分かりました。
プラスチックなどを代用することで安価で手軽に手に入ることも良いですが、自然の恩恵を今一度見直し、自分の生活にとって本当に価値のある物を生活に取り入れていくことが大切なのではないかと思います。
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