改正自動車運転処罰法が成立し、7月2日に施行されます。これにより、危険運転の適用範囲が拡大され、悪質なあおり運転は「危険運転」に含まれることとなりました。
これまでも危険運転は危険運転致死傷罪が適用されておりましたが、他の車を停止させる目的で自車を停止させる行為について、重大な交通の危険を生じさせる速度での運転であることが条件となっておりました。しかし、今回の改正では
・走行する車の前で停止や急な減速、または走行中の車に著しく接近する運転
・高速道路などで停車するなどの方法で走行中の車を停止、徐行させる行為
の二つが危険運転として適用されることとなりました。この改正自動車運転処罰法について書いていきます。
従来の危険運転とは
今回の改正前の危険運転には以下の6つが適用されておりました。
1. アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2. その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3. その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4. 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
5. 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
6. 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
要約すると、
1、飲酒や薬物の影響で運転が正常にできない状態。
2、無謀な速度により、道路の状況に合わせた運転ができない状態。
3、免許の有無にかかわらず、運転技術が伴わない状態での運転。
4、他の車や人の安全な通行を妨げる目的で、走行中の車の直前に入ったり、すごく近づいたりする行為となりますが、この時に、重大な危険を生じさせる速度で運転していることが要件となっています。
5、信号無視や警察官の手信号などを無視して進行する行為となります。ここでも重大な危険を生じさせる速度とありますが、時速20~30㎞出ていれば要件に当たると解釈されているそうです。
6、一方通行の逆走などが当たり、速度については、時速20~30㎞出ていれば要件に当たると解釈されているそうです。
続いて、今回の改正で加わった2つの要件を確認してみましょう。
改正により危険運転として適用された要件は
・走行する車の前で停止や急な減速、または走行中の車に著しく接近する運転
・高速道路などで停車するなどの方法で走行中の車を停止、徐行させる行為
の二つです。
走行速度に関係なく、走行する車の前での急停止や急減速、走行中の車へのあおり運転行為はすべて危険運転になるんですね。
それと、高速道路で走行中の車を停止、徐行させるために停車したりするのも危険運転となります。
罰則は?
危険運転致死傷罪の罰則と事故点数
罰則
傷害事故:15年以下の懲役
死亡事故:1年以上の有期懲役
事故点数と欠格期間(免許が取れない期間)
危険運転致死:62点 欠格期間8年
全治3か月重症:55点 欠格期間7年
3か月未満の怪我:51点 欠格期間6年
15日未満の怪我:45点 欠格期間5年
危険運転をすることでかなり重い罰則が適用されるようになりました。
そもそも、どの違反も絶対にやってはいけないものですし、周囲の方々に対して多くの損失を与えるものですので、絶対にやってはいけないですね。
まとめ
危険運転の適用範囲が拡大されたことで、速度に関係なく他の人や車の安全を損なうような行為での事故がすべて重い罰則で取り締まれるようになりました。加えて、改正道路交通法により妨害運転罪が成立したことで、事故にならなくてもあおり運転行為を行うだけでも重い罰則が与えられるようになりました。
詳しくは「改正道路交通法!施行日は2020年6月30日。あおり運転など罰則化!!」をご参照ください。
イライラして運転をし、普段はしないようなあおり運転をその時にしてしまうだけでも違反となってしまうことがあります。
車を運転するときには、時間にも気持ちにもゆとりをもって行動したいですね。
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